子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆ 形を徹底的に教えること! ☆
◇よく「自分のことは自分で!」ということが言われますが、このキャッチコピーをそのまま実行するためには、それまでに、自分のことを自分で出来るようにしておかなければなりません。そうしないと出来ない相談になってしまうからです。
◇それでは、自分のことを自分で出来るようになるためには、どうすればよいのでしょうか。それは、子どもに形を教えて、それを実行させることです。たとえば、挨拶の仕方を教える。掃除の仕方を教える。本の読み方を教える。机の上の整理を教える。等々、様々なことを教えて、それができるようになっていくことが重要なことなのです。形通りにやらせて、修正点を指摘して、段々と形が身についていくまで教えることです。
◇形は別の言い方をすれば、スキルということですから、スキルを学んで、それを実行できるようになれば、自分で考えてやれるようになるということです。つまり、勉強も同じことなのです。自分のことは自分でするというのは、やる気と同じで、スキルがないところでは、なかなか出来ないものなのです。
お母さん:今日は、部屋の掃除の仕方を教えることにするわ!
A君 :え~・・・。いいよ!
お母さん:お母さんも一緒にあなたの部屋を掃除するから、大丈夫よ!
A君 :え~・・。どうして、今日なの!?
お母さん:A君の部屋を綺麗にしたくて。A君が、自分の部屋の掃除の仕方が分かれば、後は自分で出来るでしょ。だからお母さんが素晴らしい掃除の仕方を教えてあげようと思って。
A君 :どうしても、僕に掃除の仕方を教えたいの?
お母さん:そうね。どうしても掃除の仕方を知っておいて欲しいのよ。
A君 :じゃあ、仕方がないか。
お母さん:じゃあ、行くわよ。先ずは下に落ちているもので、いらないものといる物に分けましょう。次に・・・。
◇子どもに自律=自立的な行動を取って欲しいと思えば、先ずはそのやり方を徹底して教えましょう。1回教えてそれで終わりというものではありません。何回も繰り返して教えることです。子育ては、長い旅です。じっくり行って欲しいのです。
『形を徹底的に教えること!』
☆ 行動の意味を教えること! ☆
◇5月5日の子どもに日に子どもたちの小さい頃のやり取りを思い出して、今から9年前のメルマガを読み返してみたら、今回、書こうとしていた行動の意味を教えるというテーマと似ているテーマで書いていたので、それを採録します。あの頃の彼らは、なんて可愛かったんだといまさらながらに思いますが、大きくなっていくにつれて、対応な人間になっていきました。それはそれで、頼もしい限りです。
◇先日、とうとう業を煮やして、子ども達に、部屋の掃除をする意味を教えた。お母さんが何回も何回も、毎日のように叱っては、部屋を掃除させているのを見かねてとうとう「掃除やりなさい!戦争」に参戦してしまった。
お父さん:自分たちの部屋を綺麗にする意味が分かるかな?
チビA君:えっと・・・・。
チビB君:・・・・・。
お父さん:君たちの机は、誰に買って貰ったんだっけ?
チビA君:ジジとババ。
お父さん:ジジとババは、どうして机を買ってくれたのかな?
チビA君:えっと・・・・。
チビB君:分からない!でも、僕が買ってくれって言ったから?
お父さん:ジジとババは、君たちが、小学校に上がるんで、勉強してほしくって、机を買ってくれたんじゃないのかな?どう思う?
チビA君:・・・。そう思うよ。
チビB君:そうだよ。
お父さん:じゃあ、こんな状態じゃ、勉強できないだろ。ジジの気持ちもババの気持ちも君たちは、裏切っているんことにならないかな?
チビA君:えー!
お父さん:だから、勉強できるように、片付けるんだよ。部屋を綺麗にするとかしないとか、掃除をするということは、その部屋をどうすることなんだろうね?
チビA君:分からないよ。
チビB君:・・・・。
お父さん:部屋を君たちが、使いやすくすることなんだよ。そのために、掃除をし、片づけをするんだよ。ベッドは、おもちゃを置くためのものではないよね。君たちが、眠るためのものだろ。そういう風に考えて、君たちの部屋を君たちで綺麗にしてみろよ。毎日のように、お母さんに怒られるんじゃなくて。分かったかな。
チビA君:分かったよ。
チビB君:ハイ!
◇一回や二回で、事態は、変わらないかもしれないが、現に我が家では、3日しか持たなかったが、こういう積み重ねが大切なんだと思う。叱る前に行動の目的を教えてあげよう。そうすれば、感情的な対立は、それほど大きくはないはずだ。
◇こんなことを9年前に書いていました。今もたまに、行動の意味を教えるようにしていますが、掃除だけは、彼らは今でもお母さんから叱られながら、ブーブー言いながらやっています。
『行動の意味を教えること!』
☆ 習い事の意味を考える! ☆
◇先月の子育て講演の際に、小学校6年生のお母さんから相談をいただきました。子どもが、全ての面で無気力になっているように思うのだけれども、どうすればよいのかという相談でした。詳しい事情を聞いてみると、その子は、週に習い事を数多くやっているのです。習字、水泳、ピアノ、そして、個別指導塾と、ほとんどの曜日で習い事をやっているのです。何でそんなにやらせているのか、そのお母さんに尋ねてみると、父親がそのぐらいは、やらせておいて良いというので、やっているのだと言っていましたが、最近、子どもが元気がないので、気になっているということでした。
中土井 :お子さんは、何をしている時が楽しそうですか?
お母さん:そうですね。ピアノを弾いている時でしょうか。
中土井 :そうですか。ピアノを弾いている時が、楽しそうですか。そうであれば、ピアノを残して、後は、本人のやりたいことをやらせてはどうですか。
お母さん:お父さんが、そろそろ受験の準備をする時期だから、ピアノを辞めろと言っているのですが。
中土井 :そうですか。受験の準備をするために、習い事を整理するのはよいことだと思いますが、ピアノだけは、楽しくやっているとお母さんから見えるのであれば、彼女はピアノに救いを求めているかもしれません。もしそうなら、そのピアノを辞めさせようとするのは、あまり賛成できませんね。こんなに習い事が多ければ、何を自分の柱にして良いのか、分からないはずです。ましてや、自分で決めるわけでもなく、親がどんどんレールを敷いてしまうので、寂しいのではないでしょうか。お母さんが、彼女の気持ちを聞いてみてはどうでしょうか。
お母さん:最近、何をするにしても自信がないような感じなので、ちょっと心配だったのですが、子どもにどうしたいのか聞いてみたいと思います。
◇子どもに色々な期待を持つのは、親として当然のことですが、その期待を子どもに現実的な形で、どんどん押し付けてはいけないように思います。こんなに習い事が多ければ、自分の中でなんでこの習い事をやっているのか、意味が見出せなくなってしまいます。そうすれば、やる気なんて出てくるはずもないのです。何のための習い事なのか、子どもにとっての習い事とは何なのか、その辺をしっかり親は整理しておきたいものです。先週も与えすぎないと書きましたが、子どもが何を柱にして生活をしていくべきか、色々と子どもの感情を知りながら、考えてみることです。
☆ 子どもに与えすぎない! ☆
◇今回紹介するのは、経営の神様と言われた松下幸之助の人材育成についてです。彼の人材育成のキーワードは、「自分で考える」ということです。部下が松下幸之助に相談すると必ず、「君はどう考えるんや?」と返ってくるそうです。元松下政経塾の塾頭の上甲さんよれば、まだ、松下幸之助が生きている頃、松下政経塾で寝泊りをしている時に、塾生が、朝刊を彼に持っていくと、塾生に向かって、「君が一番重要だと思う記事はなんや?」と聞くそうです。塾生にしてみれば、新聞を持ってきてありがとうで終わるところを、松下幸之助に質問されるのです。そして、その一言で、塾生は、翌日からは、朝刊をすべて読んで、一番重要な記事を探してから、彼に届けることになったそうです。彼の一つの質問で、新聞を読めとは言わなくても、新聞を読むことになっていくのです。「自分で考える」、「自分で行動する」ことが、教育にとってどのくらい重要なことなのかを松下幸之助は、理解していたのです。
◇それでは、「自分で考える」ためにはどうすればよいのか。先の上甲さんは、「奪う教育」が必要だと言います。愛情を持って、「不便」、「不自由」、「不親切」を与えれば、自分で考えるようになる、と言うのです。私もその通りだと思います。私たちは、子どものために、前もって色々なことをしすぎているのです。失敗しないように、前もって注意を与えすぎているのです。一々、注意を与えているから、子どもと親の関係が、複雑になってしまうのです。ちょっとは、子どもに考える余地を与えることです。
◇松下幸之助の人材育成論のキーワードを最後に4つ挙げて終わりたいと思います。このキーワードを見てみると、今までの私たちは、子どもに過干渉であったかもしれません。子どもは、愛情さえ与えれば、人間として大切なことはつかんでくれるものです。子育ては、親の心構えが、問われているのかもしれません。
「自修自得」・・・自ら問いを発し、自ら答えをつかめ
「万事研修」・・・すべてのことが、みな自分の師である
「流汗悟道」・・・汗を流してやったことは、自分の中でよく分かる
「凡事徹底」・・・当たり前のことを徹底しろ
『子どもに与えすぎない!』